プロダクト・イメージからコーポレイト・イメージへの脱却にした企業、サントリー

 

 

 

味の素やサントリーのように、もともとは単なる食品名に過ぎなかったものが大ヒットし、そのまま企業の名前になった例はとても多い。

 

しかし、その商品のイメージから脱却できない企業は多い。

 

ここではサントリーに焦点を当てて考え行きたい。

 

 

サントリー株式会社は、2005年になってテレビ・コマーシャルのエンド・ロゴとメッセージを変え、「水と生きるSuntory」とした。2010年度のサントリー売上高は、連結で1兆7424億円である。これらの売り上げは、同社の食品カンパニー、酒類カンパニー、海外カンパニー、外食開発カンパニーなどによって支えられている。これらの事業領域は、今やウィスキー、ワイン、焼酎に限定されるものではなく、飲料、食品、アイスクリーム、ビール、健康食品、花など多岐にわたっている。

 

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現在のロゴ

 

コーポレイト・ブランド「サントリー」はもともとは、ウィスキーのプロダクト・ブランドがコーポレイト・ブランドへと昇華したものである。このようなプロダクト・ブランドからコーポレイト・ブランドへの昇華は、食品に限っても「味の素」や「キッコーマン」など枚挙にいとまがないほどである。しかし、醤油くさい「マンイズワン」など、なかなかプロダクトイメージから脱却できない場合が多い。そのような中で、コーポレイト・ブランド「サントリー」はプロダクトから見事に脱却した数少ない例である。

 

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日本最初のウイスキー「サントリーウイスキー白札」

 

サントリーがプロダクト・ブランドを越えたコーポレイト・ブランドに昇華したことには、いくつかの理由がある。そのひとつは、サントリーがかつて日本には全く存在しなかったウィスキーを市場導入したことにある。キューピー・マヨネーズがマヨネーズの使い方やマヨネーズを使った料理方法を紹介して需要を喚起したように、サントリーは「ウィスキーを飲む状況や風景」を紹介することに主力をおいたのである。まさに、「ウィスキー文化」を日本に導入したといえよう。さらに、サントリー芸術財団やサントリーミュージアムを設立するなど、文化貢献活動を行ってきている。これらのことによって、「サントリーは文化」とか「サントリはースポーツ」といったイメージが定着し、サントリー=ウィスキーという狭い範囲でのプロダクトイメージにならなかったことが大きい。

 

 

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「サントリーミュージアム」2010年に閉館。その後大阪市に土地・建物・展示物全て無償で寄贈。

 

 

「水と生きる」「人と自然と響きあう」「原点は自然との共生です」というイメージが、ウィスキーを越えたサントリーのイメージとなり、プロダクトを超えたコーポレイト・アイデンティティ、コーポレイト・イメージが定着した数少ない例だといえる。

 

出典「有斐閣:マーケティング戦略第四版」